業務フロー整理をどこから始めるか
業務フロー整理を依頼されたとき、最初に「全部の業務を書き出してください」と言うコンサルタントがいます。この指示は悪くないのですが、出てきたリストが膨大になりすぎて、どこから手をつければいいか分からなくなることが多い。よくある相談の流れをもとに、もう少し絞り込んだ入口を紹介します。
まず「困っている人」を特定する
業務フロー整理の目的は、組織全体の業務を網羅することではありません。今、誰かが困っている場所を見つけることです。「毎月末に残業が増える」「この担当者が休むと業務が止まる」「このファイルが最新版か分からない」といった具体的な困りごとから始めると、整理すべき範囲が自然に絞られます。
経営者に「困っていることは何ですか」と聞くと、「全体的に非効率」という答えが返ってくることがあります。それは感覚として正しいかもしれませんが、図を描く起点としては使えません。実際に手を動かしている担当者に「今週一番時間がかかった作業は何ですか」と聞くほうが、具体的な場所が見えてきます。
粒度を決めてから描く
業務フロー図の粒度は、用途によって変わります。「新しいスタッフへの説明資料」として使うなら、大きな流れだけを示す粗い図で十分です。「どの工程に時間がかかっているか分析する」なら、各ステップにかかる時間と担当者を書き込む必要があります。
粒度を決めずに描き始めると、途中で「ここはもっと細かく書くべきか」「ここは省略していいか」という判断が毎回発生して、作業が止まります。最初に「この図は何のために使うか」を決めると、描く速度が上がります。
- 説明資料:大きな流れのみ、5〜8ステップ程度
- 分析用:各ステップに時間・担当者・使用ツールを記載
- 改善計画用:現状と理想の2パターンを並べて描く
図を描いた後にすること
図が完成したら、必ず現場の担当者に見せて確認します。「この流れで合っていますか」と聞くと、「実はこのステップは毎回省略しています」「このExcelは誰も更新していません」という情報が出てくることがあります。図は現実を写すものなので、現場の確認なしに完成とは言えません。
確認が終わったら、図を使って「どこを変えるか」の議論をします。図があると、「この工程をなくせないか」「ここを自動化できないか」という議論が具体的になります。図を作ること自体が目的ではなく、議論の道具として使うことが目的です。
業務フロー整理は、ツールを入れる前の準備として位置づけると効果が出やすいです。何から始めればいいか迷っている場合は、スポット相談(60分)で現状を整理するところから始めることもできます。